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整形外科

方針および診療内容

整形外科のご案内

 周東総合病院整形外科では一般外傷、関節疾患、脊椎疾患、関節リウマチ、骨粗鬆症を中心に幅広い分野をカバーしています。年間約900件の手術を行っており、地域の皆さまの健康を支える医療を提供しています。

代表的な疾患

一般外傷:大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、足関節周囲骨折、脊椎圧迫骨折など
関節疾患:変形性関節症、半月板損傷、腱板断裂や反復性脱臼
脊椎疾患:腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など

医師体制・専門性

 常勤医師は5名体制で、そのうち4名は日本整形外科学会認定専門医を取得しています。それぞれが関節外科、脊椎外科、外傷外科など得意分野を持ち、チーム医療で質の高い治療を提供しています。

リハビリ・社会復帰支援

 手術後は、理学療法士・作業療法士・看護師が連携し、早期リハビリ・早期社会復帰を目指しています。患者さま一人ひとりの生活背景に合わせた、きめ細やかなサポートを行っています。

地域医療との連携

 近隣の開業医の先生方や他の医療機関と密に連携し紹介状の受け入れを行っています。症状が安定した患者さまについては、引き続き地域のかかりつけ医で診療が継続できるよう逆紹介も積極的に行っています
  地域の皆さまに「ここに相談すれば大丈夫」と思っていただけるよう、かかりつけ医とも協力しながら、きめ細やかな診療を心がけています。

外来受診の方法

 当院の整形外科外来は完全紹介制となっています。当科での診療の際には、まず地域の診療所等を受診された後、紹介状をお持ちになって受診していただくようお願いいたします。

勤務医紹介

  • 木村 光浩(副院長 兼 整形外科部長)
    (資格・専門医等)
     日本整形外科学会専門医
     日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
     日本リウマチ学会専門医
     日本体育協会公認スポーツドクター
    (所属学会)
     日本整形外科学会
     日本リウマチ学会
       日本人工関節学会
     日本スポーツ整形外科学会
     日本肩関節学会
     日本股関節学会
     中部日本整形災害外科学会
  • 茶川 一樹(整形外科副部長)
    (資格・専門医等)
     日本整形外科学会専門医
     日本整形外科学会認定リウマチ医
     日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
    (所属学会)
     日本整形外科学会
     日本脊椎脊髄病学会
     日本人工関節学会
     日本リウマチ学会
     中国四国整形外科学会
  • 平田 健司(整形外科副部長)
    (資格・専門医等)
     日本整形外科学会専門医
     日本人工関節学会認定医
     日本体育協会公認スポーツドクター
    (所属学会)
     日本整形外科学会
     日本人工関節学会
     日本整形外傷学会
     日本骨粗症学会
     日本股関節学会
  • 米原 孝則(整形外科医師)
    (資格・専門医等)
     日本整形外科学会専門医
    (所属学会)
     日本整形外科学会
     日本人工関節学会
     日本整形外傷学会
  • 上田 誠也(整形外科医師)
    (所属学会)
     日本整形外科学会
     西日本整形災害外科学会
     中国四国整形災害外科学会
     

関節外科について

 当院関節外科では、股関節・膝関節・肩関節などの関節疾患に対して、専門的な診断と治療を提供しています。まず薬物療法・注射・装具・リハビリテーションなどの保存的治療を行い、症状の軽減と機能の維持を目指します。それでも改善が得られない場合や、画像上明らかな損傷がある場合には、適切なタイミングで関節鏡手術や人工関節手術などの手術治療を検討します。

変形性膝関節症

 膝関節の軟骨が摩耗することで骨同士が直接こすれ合うようになって痛みや可動域制限が起こる疾患です。中高年の方に多く、階段の昇り降りや歩行時の膝の痛み・こわばりが特徴です。初期は保存療法(運動療法、薬物療法、注射など)を行い、進行した場合には骨切り術や人工膝関節置換術などの手術を行います。

変形性股関節症

 股関節の軟骨が摩耗することで骨同士が直接こすれ合うようになって痛みや可動域制限が起こる疾患です。女性に多くみられ、歩行時の足の付け根の痛みや、靴下を履きにくい、立ち上がりにくいといった動作障害が生じます。進行度に応じて保存療法や人工股関節置換術を行います。

半月板損

 膝関節内にあるクッションの役割をする半月板が、加齢やスポーツ・外傷によって損傷した状態です。膝の痛みや引っかかり感、ロッキング(急に動かなくなる)などの症状が見られます。当院では関節鏡を用いた低侵襲手術(半月板切除術・縫合術)を行い、機能温存と早期復帰を目指します。

腱板断裂

 肩関節を支える筋肉(腱板)が、加齢や外傷により部分的または完全に断裂した状態です。腕を上げにくい、夜間の痛み、肩の動きの制限などが特徴です。関節鏡を用いた腱板修復術によって、痛みの軽減と肩機能の改善を目指します。

人工関節手術

人工関節置換術とは

人工関節置換術(Arthroplasty)は、関節軟骨の変性・摩耗や関節の変形・破壊によって関節痛・可動域制限・機能障害が生じた患者に対し、関節表面を金属・セラミック・ポリエチレン製の人工材料で置換し、疼痛の緩和と関節機能の再建を図る手術です。

対象疾患

主要適応疾患

疾患名

特徴・適応理由

変形性股関節症・変形性膝関節症

齢・肥満・過負荷に伴う軟骨摩耗と関節変形

関節リウマチ

慢性炎症により関節軟骨および骨が侵食・破壊

大腿骨頭壊死症

骨頭の血流障害による壊死・骨頭圧壊に伴う股関節機能障害

当院の強み・特色

低侵襲手術(MIS)で早期回復を実現
ナビゲーションシステム・手術支援ロボット導入による高精度手術
3次元術前計画による個別化医療の徹底
術後リハビリ専門チームが早期社会復帰を全力支援
術後外来フォローを継続し、長期的な関節機能維持をサポート


「痛みを取り除きたい」「再び自由に動きたい」
当院では患者さま一人ひとりのご希望と症状に寄り添い、安心・安全・確実な人工関節手術を提供しております。ご相談はお気軽にどうぞ。

人工股関節置換術(THA: Total Hip Arthroplasty)

手術概要

当院では変形性股関節症を中心とした症例に対し人工股関節置換術を施行しています。
 術前の詳細な評価に基づき、個々の骨形態・軟部組織バランスに最適化した手術計画を立案し、ナビゲーションを用いた安全で精度の高い手術を行っています。

手術手技の詳細

1. 皮膚切開・展開
  • 個々の状態に合わせて前方アプローチまたは後方アプローチを選択します
  • 低侵襲手術(MIS: Minimally Invasive Surgery)を標準とし、筋腱の切離を最小限に抑えて手術を行います
2. 大腿骨頭切除
  • 変形・壊死した大腿骨頭を適切な角度・長さで切除します
3. 寛骨臼形成
  • リーマーにて寛骨臼を球状に成形します
  • 必要に応じ骨移植を併用し、骨欠損部を補填します
4. インプラント設置
  • 寛骨臼側に金属カップを設置します
  • カップ内にはポリエチレンライナーを装着します
  • 大腿骨側に金属ステムと、セラミックまたは金属製のボールヘッドを設置します
  • 骨質と年齢に応じ骨セメントを使用することがあります
5. 可動域確認・脱臼予防評価
  • 股関節の屈曲・内旋・外旋にて可動域と安定性を確認します
6. 創閉鎖
  • 皮膚は皮下埋没縫合を行うため抜糸はありません


術前・術後管理

項目

内容

術前計画

3次元CTデータ基に、術前計画支援ソフトで骨形態を正確に把握、最適なインプラントサイズ・設置角度を決定

手術中支援

ナビゲーションシステムにより術前計画通りの設置をリアルタイムで確認

リハビリ

手術翌日より離床関節可動域訓練・筋力訓練・歩行訓練を段階的に実施

退院目標

術後2〜3週間での退院、約1か月での社会復帰を目指します

図1 皮膚切開の位置
図2 手術概要
図3 THAインプラント
図4 左変形性股関節症の単純X線
図5 THA術後の単純X線

人工膝関節置換術(TKA: Total Knee Arthroplasty)

手術概要

当院では変形性膝関節症を中心とした症例に対し人工膝関節置換術を施行しています。手術支援ロボットを駆使し、正確な骨切りとアライメント調整を徹底しています。

手術手技の詳細

1. 皮膚切開・展開
  • 膝前面縦切開
  • **低侵襲手術(MIS: Minimally Invasive Surgery)**を標準とし、軟部組織損傷を最小限に抑えて手術を行います
2. 骨切り
  • 手術支援ロボットのナビゲーション機能により、個々の下肢アライメント(機械的軸)や靱帯バランスを考慮し、大腿骨遠位・脛骨近位の骨切りをミリ単位の精度で実施します
3. インプラント設置
  • 大腿骨側:金属製コンポーネント
  • 脛骨側:金属製コンポーネン+ポリエチレンインサート
  • 膝蓋骨ポリエチレンパーツの適応は症例に応じ選択
4. 靭帯バランス調整
  • 内外側靭帯のテンションを適切に調整し、可動域・安定性確保します
5. 可動性・アライメント確認
  • 屈曲・伸展や人工関節の適合性を評価します
6. 創閉鎖
  • 皮膚は皮下埋没縫合を行うため抜糸はありません

 

術後管理

前計画

CTデータを基に術前計画支援ソフトで骨形態を正確に把握し最適なインプラントサイズ・設置角度を決定

手術支援ロボット

骨切り精度向上と個別最適化を実現

リハビリ開始

手術翌日より離床、関節可動域訓練・筋力訓練・歩行訓練を段階的に実施

退院目標
術後4週間程度での退院、約1.5か月での社会復帰を目指します
図6 皮膚切開の位置
図7 手術概要
図8 TKAインプラント
図9 手術支援ロボット
図10 変形性膝関節症の単純X線
図11 TKA術後の単純X線

脊椎外科について

当院では脊柱管狭窄症、頚髄症、脊椎破裂骨折といった疾患に対して、早期の診断と適切なタイミングでの手術を行っていいます。

脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)

図12 腰部脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊椎の中を通る神経の通り道(脊柱管)が加齢や変性により狭くなり神経が圧迫されることで、腰や足にしびれ・痛み・歩行障害が生じる疾患です。代表的な症状は、歩いていると足がしびれたり、痛みで歩けなくなる「間欠性跛行」です。保存的治療(リハビリや薬物療法)で改善しない場合には、顕微鏡下に狭窄部の骨や靭帯を取り除き神経の圧迫を解放する脊椎除圧術を行い、また必要に応じて脊椎固定術も行います。

頚髄症(頚椎症性脊髄症)

図13 頚椎症性頚髄症
頚髄症は、頚椎の変形や椎間板の突出、骨棘形成などにより、首の脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫される疾患です。症状は手指の細かい動作がしにくい、ボタンが留めづらい、箸が使いづらいといった巧緻動作障害から、足のもつれ、歩行障害、膀胱直腸障害まで多岐にわたります。進行例では脊髄の不可逆的な障害を防ぐため、頚椎椎弓形成術前方除圧固定術(当院では行っていません)といった手術で脊髄の圧迫を取り除き、安定性を確保します。

脊椎破裂骨折

図14 第12胸椎の骨粗鬆症性椎体骨折
脊椎破裂骨折は、高エネルギー外傷や骨粗鬆症性骨折により、脊椎の椎体が粉砕・圧潰し、脊髄や神経に損傷を及ぼす可能性が高い重篤な骨折です。神経症状の有無、骨折の安定性を詳細に評価し必要に応じて後方からの椎体固定術や前方椎体再建術を行います。特に神経麻痺を伴う場合は、脊髄・神経根の減圧と強固な固定を行い、機能回復と再転位防止を目指します。また、高齢者の骨粗鬆症による破裂骨折では、骨粗鬆症治療を行いつつ早期離床・社会復帰を支援しています。

一般外傷について

当院では大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折といった頻度の高い骨折に対して、早期の診断と適切な治療を提供しています。高齢者の多い地区であるため、骨折後は積極的に骨粗鬆症に取り組み再骨折予防にも力を入れています。
 

大腿骨近位部骨折

当院では年間大腿骨近位部骨折は、特に高齢者の方に多く見られる骨折で、転倒などの軽微な外力でも発生します。この骨折は早期治療が重要で、治療が遅れると寝たきりや合併症を引き起こすことがあります。当院では、患者さんの全身状態を評価した上で、骨接合術人工骨頭挿入術などの手術を行い、できるだけ早期にリハビリテーションを開始できるよう努めています。
図15 右大腿骨転子部骨折
図16 3D‐CT画像
図17 骨接合術後
図18 左大腿骨頚部骨折(非転位型)
図19 骨接合術後
図20 左大腿骨頚部骨折(転位型)
図21 人工骨頭挿入術後

橈骨遠位端骨折

図22 右橈骨遠位端骨折
手首の骨折である橈骨遠位端骨折は、日常生活での転倒で多く発生します。骨のずれが少ない場合は保存療法(ギプス固定)で治療を行い、骨が大きくずれている場合は手術による整復固定(骨接合術)などの手術を検討します。手術後は早期から指や手首の動きを取り戻すリハビリ指導も行っています。

脊椎圧迫骨折

図23 第1腰椎圧迫骨折
脊椎圧迫骨折は、特に骨粗鬆症のある高齢者に多い骨折です。転倒や日常生活でのちょっとした外力で生じ、背中や腰の痛みを引き起こします。多くの場合は保存的治療となります。安静や装具療法で痛みを和らげつつ骨粗鬆症の治療を並行して行い、骨が癒合するのを待ちます。骨折が原因で神経症状が現れる場合や、痛みが強く日常生活が困難な場合には手術治療(経皮的椎体形成術など)も検討します。
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